ケンウッドOBが集結した夜 ── Lシリーズ試聴会レポート
「生み出した側」と「甦らせる側」が、音を通じて再会した日の記録。
先日、Crafted Audio Services(CAS)の運営母体である株式会社ティーエス・プロ(TS-PRO)の厚木事業所オーディオサロンにて、ケンウッド(トリオ)Lシリーズの試聴会を開催しました。
集まったのは、かつてケンウッドで製品の企画・設計・品質管理などに携わっていたOBの皆さま、約10名。目の前に並ぶのは、CASが完璧にレストアしたLシリーズのフラッグシップたち。L-01A、L-02A、L-08C/08M——いずれもマニア垂涎の名機ばかりです。
試聴会で鳴らした機材は、すべてCASでフルレストア済みのものです。
アンプ
・L-01A / L-01T(1979年)
・L-08C / L-08M / L-08PS(1980年)
・L-02A / L-02T(1982年)
スピーカー
・LS-100(1979年)
・LS-1000(1981年)
・LS-CX7 soleade(1992年)
プレーヤー / DAC
・KP-1100(1985年)
・DP-900(1984年)
・DPF-7002(1997年)
中でもL-08Cは動作品ですらほぼ見かけない超希少モデル。L-02Aは海外仕向け仕様の個体で、バナナ端子を装備した珍しいバリエーションです。いずれもCASの熟練エンジニアが、純正・オリジナル重視の方針で仕上げています。
試聴が始まると、それまで和やかだった空気が一変しました。
OBの皆さんは、真剣な表情で音に集中し、目をつぶってうなずいたり、ふと笑みをこぼしたり。ご自身が携わった製品が、何十年という時を経てなお、こうして完調の状態で音を奏でている——その事実に、深く感じ入っている様子が伝わってきました。
各々が持ち合った音源を聴き比べる場面では、当時の開発秘話や思い出が次々と飛び出し、会場は熱気に包まれました。圧巻は、当時TRIO/KENWOODが音質決定で実際に使用していた音源を再生し、開発当時さながらの試聴ができたことです。当時のモノづくりでは、市販の音源に頼らず、自ら演奏からレコーディングまで手掛けていたといいます。その音源をLシリーズで鳴らしたとき、現代の製品群にも決して引けを取らない表現力に驚かされました。
私たちは、日頃思い入れに応えることをモットーとしています。お客さまが大切にしてきた機器を預かり、丁寧にメンテナンスし、もう一度その音を届ける。そこにやりがいを感じてきました。
今回、実際に開発や企画の現場に携わっておられた方々と同じ空間で音を聴いたことで、気づかされたことがあります。
当時のケンウッドが、会社としてどれほどの体力を注ぎ込んでモノ作りをしていたか。オーディオ業界の中でどれほど中心的な存在だったか。そして、そこに関わった一人ひとりの技術者がどれだけの情熱を持っていたか——。
実際にお話を伺い、目の前の機器が鳴る音を共有したとき、その重みは想像以上でした。
ヴィンテージオーディオのメンテナンス・レストアという仕事は、「使う方に喜んでいただく」だけではない。かつてその製品を生み出した方々——開発者、設計者、企画担当者——の思いにも繋がっているということ。
私たちが一台一台と向き合い、丁寧に復活させる仕事には、作り手の魂をも未来へ繋ぐという役割があるのだと、改めて感じました。
今回ご参加いただいたOBの皆さまからは、大変ありがたいことに大きな反響をいただきました。今後さらにこうした交流の輪が広がっていく手応えを感じています。
なお、今回の試聴会にはオーディオ雑誌「ステレオ時代」の取材も入っており、イベントの詳細なレポートは次号に掲載される予定です。機材の技術的な背景やOBの皆さんの経歴、試聴の詳しい模様などは、ぜひそちらでお楽しみください。
TS-PRO 厚木事業所 オーディオサロン
CASがレストアした機器の試聴が可能です。
予約専用番号:050-3504-1505
受付時間:9:00〜17:00(平日のみ)
所在地:神奈川県厚木市岡田3050 厚木アクストメイン・タワー21階