Works
Amplifier
SANSUI
Repair
SANSUI AU-α907i MOS Limited
音が出ない・断続的に途切れる症状を改善し、MOS搭載アンプの安定性を取り戻す
Published: 2026年7月 | Category: Works|プリメインアンプ修理事例 | Crafted Audio Services
音が出ない、音が出ても断続的に途切れる、ボリューム操作時にガリが出る。
そうした症状が見られた SANSUI AU-α907i MOS Limited をお預かりし、故障箇所の修理と簡易メンテナンスを実施しました。
今回の不具合は、ドライバー基板およびパワーアンプ基板内のはんだ割れにより、回路の接続状態が不安定になっていたことが主な原因でした。
あわせて、出力リレー、ボリューム、各種スイッチ、RCA端子などにも経年による接触不良が確認されたため、各部を分解・清掃し、安定した動作状態へ整えています。
Basic Info
基本情報
| メーカー | SANSUI(サンスイ) |
| モデル | AU-α907i MOS Limited |
| 種別 | プリメインアンプ |
| 発売年 | 1987年 |
| 当時定価 | 260,000円 |
| 症状 | 音が出ない、出ても断続的、ボリュームガリ |
| 作業内容 | 故障修理+簡易メンテナンス |
Overview
概要
SANSUI AU-α907i MOS Limited は、SANSUI創立40周年を記念して発売された限定生産モデルです。
パワー素子にMOS-FETを採用し、当時のSANSUIらしい物量と設計思想が込められたプリメインアンプです。
MOS-FET搭載機は、現在では部品そのものが貴重になっているものも多く、作業時には静電気対策を含めた慎重な取り扱いが必要になります。
また、この時代の高級アンプは、単に故障箇所を直すだけでなく、スイッチ、ボリューム、リレー、端子など、信号経路に関わる接点部の状態が音質や動作安定性に大きく影響します。
今回の作業では、オリジナルの状態をできるだけ尊重しながら、不具合の原因となっている箇所を見極め、必要な範囲で修理とリフレッシュを行いました。
Diagnosis
診断
申告症状
「音が出ない」
「音が出ても断続的に途切れる」
「ボリューム操作時にガリが出る」
お預かり後の確認で、ドライバー基板およびパワーアンプ基板内に、トランジスタ周辺のはんだ割れが確認されました。
はんだが割れることで、接触したり離れたりを繰り返し、電気的に非常に不安定な状態となっていました。
このような状態では、電源投入直後は音が出ても、時間経過や振動、温度変化によって音が途切れることがあります。
また、出力リレーの接点にも経年による接触不良が見られ、音切れや不安定動作の一因となっていました。
ボリュームについても、メインボリュームとバランスボリュームの内部に汚れや摩耗粉が蓄積しており、操作時のガリ発生につながっていました。
確認された不具合
・ドライバー基板、パワーアンプ基板のはんだ割れ
・出力リレー接点の接触不良
・メインボリューム、バランスボリュームのガリ
・フロントパネル各種プッシュスイッチの接点劣化
・固定用ボンドの劣化による周辺部品への影響リスク
・RCA端子接続面のくすみ、白錆状の汚れ
・一部コンデンサの劣化
Repair Process
修理工程
01 状態確認・症状再現
まずは申告症状の確認を行い、音が出ない、または断続的に音が途切れる症状の再現を確認しました。
あわせて、ボリューム操作時のガリ、スイッチ操作時の接触状態、出力リレーの状態を点検しました。
02 基板部のはんだ割れ修正
ドライバー基板およびパワーアンプ基板内のトランジスタ周辺に、はんだ割れが確認されました。
割れたはんだ部分は接触が不安定になり、音切れや無音症状の原因となります。
該当箇所を確認し、必要な部分に再はんだ処理を実施。
通電時の接続状態を安定させ、断続的な音切れの改善を図りました。
はんだ割れ箇所の拡大写真。接触と離脱を繰り返す不安定な状態でした
03 出力リレー接点の清掃・測定
出力リレーは、経年により接点の抵抗値が上昇し、接触不良を起こしていました。
リレーを取り外して接点状態を確認し、接点清掃を実施しました。
清掃後は抵抗値を測定し、接点状態が改善していることを確認したうえで再装着しています。
音の出口に近いリレー接点は、わずかな接触不良でも音切れや左右差の原因となるため、丁寧な確認が必要です。
リレー接点の確認、清掃、抵抗値測定
04 ボリュームの分解清掃
メインボリュームとバランスボリュームは、完全分解を行いました。
内部に蓄積した汚れやガリ粉を除去し、摺動子のクリーニングを実施しています。
ボリュームのガリは、単に洗浄剤を吹き付けるだけでは一時的な改善にとどまる場合があります。
内部の状態を確認し、接点面や摺動部を適切に清掃することで、操作時のノイズ低減と安定した動作を目指します。
ボリューム分解清掃の様子
05 各種プッシュスイッチの分解清掃
フロントパネルにある各種プッシュスイッチを取り外し、完全分解にて接点清掃を実施しました。
清掃後は専用グリースで接点を保護し、接触状態の安定化を図っています。
ヴィンテージアンプでは、スイッチ類の接触不良が音切れ、片chの不安定、ノイズ発生の原因になることが多くあります。
外から見えない部分ですが、信号が通る重要な接点です。
プッシュスイッチの完全分解と接点清掃
06 MOS-FET周辺の静電気対策
AU-α907i MOS Limited に使用されているMOS-FETは、静電気に弱く、現在では貴重な部品です。
作業時には静電気対策を行い、取り外したMOS-FETの端子にも保護処置を施しながら作業を進めました。
貴重なオリジナル部品を不用意に傷めないことも、ヴィンテージ機器の修理では重要なポイントです。
取り外したMOS-FETの端子に静電気対策の保護処置
07 固定用ボンドの除去とコンデンサ確認
パワーアンプ基板では、電解コンデンサ周辺に固定用ボンドが使用されていました。
経年したボンドは変質し、周辺部品の腐食や不具合につながる場合があります。
該当箇所のボンドを除去し、周辺を清掃しました。
今回は簡易メンテナンスの範囲での作業のため、電解コンデンサを一律に交換するのではなく、静電容量とESRを確認し、不具合が認められるものを中心に交換しています。
今回はバイポーラコンデンサを交換対象としました。
劣化ボンドの除去箇所と、コンデンサの測定確認
08 RCA端子の取り外し・研磨清掃
背面パネルのRCA端子は取り外し、接続面の研磨清掃を行いました。
この時代のアンプでは、金メッキ端子であっても表面に白錆のような汚れが発生している場合があります。
ただし、研磨しすぎると金メッキを傷めてしまうため、状態を見ながら慎重に作業します。
清掃後は接触面を整え、接続時の安定性を回復させています。
RCA端子の清掃前(左)と清掃後(右)
09 アイドル電流・オフセット調整、最終確認
修理作業後、アイドル電流とオフセットの調整を実施しました。
その後、筐体内外のクリーニングを行い、音出し確認、操作確認を経て作業完了としました。
筐体内部クリーニング後の状態
Main Work
主な作業内容
| 基板はんだ割れ | 不具合箇所の再はんだ処理 |
| 出力リレー | 接点清掃、抵抗値測定、再装着 |
| メインボリューム | 分解清掃、ガリ粉除去、摺動子清掃 |
| バランスボリューム | 分解清掃、ガリ粉除去、摺動子清掃 |
| プッシュスイッチ類 | 取り外し、完全分解、接点清掃、接点保護 |
| MOS-FET周辺 | 静電気対策を行いながら慎重に作業 |
| 固定用ボンド | 劣化ボンド除去、周辺清掃 |
| コンデンサ | 測定確認のうえ、不具合部品を交換 |
| RCA端子 | 取り外し、接続面の研磨清掃 |
| 最終調整 | アイドル電流、オフセット調整 |
| 仕上げ | 筐体内外クリーニング、音出し確認 |
Results
修理結果
作業後、音が出ない、または断続的に音が途切れる症状は改善しました。
ボリューム操作時のガリも改善し、各種スイッチ操作時の接触状態も安定しています。
RCA端子や出力リレーなど、信号経路上の接点部も清掃・確認を行い、全体として安定した動作状態へ整えることができました。
改善された症状
・音が出ない症状の改善
・断続的な音切れの改善
・ボリュームガリの改善
・スイッチ接点の安定化
・出力リレー接点の接触改善
・RCA端子の接触状態改善
・アイドル電流、オフセット調整による動作安定化
Technician Comment
技術者コメント
SANSUI AU-α907i MOS Limited は、当時のSANSUIが持っていた技術と物量が感じられる、非常に価値あるプリメインアンプです。
MOS-FETを搭載した限定モデルということもあり、現在では部品の扱いにも十分な注意が必要になります。
今回の作業では、音が出ない、音が途切れるという症状に対して、単に一箇所だけを見るのではなく、基板のはんだ割れ、リレー接点、ボリューム、スイッチ、RCA端子など、信号が通る部分を中心に確認しました。
ヴィンテージアンプでは、不具合の原因がひとつだけとは限りません。
はんだ割れ、接点劣化、端子の汚れ、部品の劣化が重なり、一つの症状として表面化していることが多くあります。
今回は簡易メンテナンスの範囲ではありますが、オリジナルの状態をできるだけ尊重しながら、必要な箇所を見極めて手を入れています。
むやみに部品を交換するのではなく、残すべき部分は残し、直すべき部分を確実に整える。
このバランスが、ヴィンテージ機器の修理ではとても重要だと考えています。
SANSUIらしい力強さと密度感を、これからも安心して楽しんでいただけるよう、各部を丁寧に仕上げました。
KENWOOD L-01A — 不動品からフルメンテでLシリーズが始まった当時の音を呼び戻す
電源入るもボリューム調整不可、小音のみで全体的に出音NG、ランプ切れなど経年不具合解消から、基板クリーニングやシャシーと含めたフルメンテを実施。
Crafted Audio Services|WORKS
Basic Info — 基本情報
| メーカー | KENWOOD(ケンウッド) |
| モデル | L-01A |
| 種別 | プリメインアンプ |
| 発売年 | 1979年 |
Overview — 概要
KENWOOD L-01Aは、1979年に発売されたケンウッドのLシリーズのプリメインアンプで、Lシリーズの口火を切った記念すべきモデル。電源トランス部を別筐体とした当時としては大変珍しい構成で、そのスタイルは後継の超弩級アンプL-02Aのベースとなるものでした。
マグネティックディストーションと呼ばれる磁性体・磁束となるトランスを分離し、またアンプ筐体含めた構成部品は徹底的な非磁性体化を図った構造としています。
電源トランスは合計537.6VA(L-02Aは444VA)という超強力な大容量トランスを搭載し、それぞれのトランスは左右チャンネルごとに使用されセパレーション性を良くしていました。そのトランスが内蔵されたパワーサプライユニットは、トランスの上にスチールカバーを被せ、さらに非磁性体の筐体で覆うしっかりした作りこみでした。
内部で使用されているブロックコンデンサ含めた電解コンデンサは、当時ELNAに特別に製造させたもので、「TRIO」ロゴが印字されています。当時のOBからは、TRIO社内にELNA技術スタッフが駐在し、TRIOの開発・設計部門とコンデンサ開発も連動して行われていたもので、最終的な音決めの重要な要素にも関わっていたとのことです。
いまでこそLシリーズと言えばL-02Aの存在が大きいですが、その布石を打ったL-01Aも大変こだわった造りから、普通のプリメインアンプとは言えない、マニア心をくすぐるものでした。
Diagnosis — 症状・診断
「音量変化が出来ない」「ボリュームが回らない」「音が小さいし歪んでいる」「ランプが切れている」
ボリュームノブとボリュームを連結するロッドの軸受けがグリス固着し完全に回らない状況に。またメインボリューム及びバランスボリュームにもガリがありました。
出力リレーの劣化に留まらず、各種スイッチ類も切替ノイズ発生。インジケーターランプにおいては、球切れの他、ランプ取り付けベースの熱による溶解などかなりの劣化が見受けられました。
RCAターミナルは、ネジ取り付け部のプラスチック割れに伴い、ネジが締まらずRCAターミナルがグラグラに。
パワーサプライユニットにおいては、底板の変形、電解コンデンサの液漏れが認められました。
Repair Process — 修理工程
01|状態確認・診断
指摘症状の再現確認、図面・回路図調査、劣化部品の特定(静電容量やhfeなど)と対応判断、各部の測定を実施しました。
02|部品選定・調達
製品状態に基づき、適切な交換部品を選定・調達しました。オリジナルの設計意図を尊重しつつ、信頼性の高い現行品を厳選しています。
03|基板作業
フラックス除去、すべての古い半田の吸い取り、再半田、コネクタ研磨清掃と接点保護しています。
基板の洗浄 — 作業前後
04|筐体・外観整備
シャシー分解、一部フレーム部品の再塗装、洗浄、ランプ交換(ランプマウントは互換品を使用)、遮光スポンジ張り替え、ヒートシンク清掃(ディファレンシャルアンプ部のヒートシンクのみ特殊研磨剤でアルミのクスミ除去研磨を実施)、RCA端子清掃、SP端子清掃を実施しました。
パワーサプライユニット部に関しては、ボトムシャーシが重量で変形していたため板金修正しました。DCケーブルピンの研磨清掃も実施しました。
RCA端子の作業前後とネジ割れ部分の筋金入れによる補修、フロントパネル部のリフレッシュ
筐体フレームまでの分解と、一部艶消しブラックでの再塗装
05|部品リフレッシュ・部品交換
主要の半導体部品の交換(初段差動増幅IC、ドライバートランジスタ、ファイナルトランジスタ)は、オリジナル品番、ランクを使用し交換しました。ファイナルトランジスタ部の放熱絶縁グリスの除去及び清掃、絶縁マイカは交換をしました。
その他トランジスタは、長年の異物付着したマイグレーション/ウィスカの除去を一つ一つ丁寧に実施しました。
電解コンデンサについては、オリジナル順守として無用な交換を避けるべく、静電容量/ESRなど電気的特性検査を行い、劣化が認められるものだけを選別部品と交換しました。
オフセット/バイアス調整用のトリマは、高信頼性部品に交換しました。
小信号を扱う各種電磁リレーは、ガス封印型の新品リレーに交換しました。
左上:専用製造された電解コンデンサ/右上:特性検査/左下:特別製造のブロックコンデンサ(内部電解液のドライアップ状況の確認も行う)
左:入力回路および初段増幅回路基板の作業前/右:イコライザー回路基板、入力回路および初段増幅回路基板の作業後
左:パワーアンプ基板の作業前/右:作業後
左上:小信号用電磁リレーの交換/右上:パワーアンプ部基板のリフレッシュ前/左下:パワートランジスタ交換に伴うhfe選別測定/右下:ディファレンシャルアンプ部の作業後
06|ボリューム・スイッチ類のリフレッシュ
メインボリューム及びバランスボリュームは完全分解を行い、ガリの元となる異物除去とクリーニングを実施。摺動子のブラシは、特殊溶剤を用いた超音波洗浄を施し、ブラシ再整列と圧の再調整を実施しました。部品組み上げ後、常用域での左右差吸収調整を施しています。
メインボリュームとノブを連結しているロッドについては、徹底洗浄を行い、その後高級機らしい回転トルクを与えるためトルクグリスにて調整を実施。
スイッチについては、重要切り替えスイッチ部のみ硬質金メッキ部品のため、従来の研磨清掃ではダメージを与えます。適材適所での接点清掃を施しています。
ボリュームシャフトとボリューム分解作業
硬質金メッキを施したスイッチの作業前後
07|テストポイント
調整時に使うテストポイント端子を製作し取り付け実施。
08|回路調整・動作チェック
各部の回路調整をサービスマニュアル要求値に基づき実施。
09|エージング・最終確認
50時間以上の長時間エージングを実施し、動作の安定性を確認。最終的な音出し確認と外装点検を経て完了としました。
左:作業前の内部/右:フルメンテ作業後の内部
Technician’s Comment — 技術者コメント
WORKS
TURNTABLE
KENWOOD
OVERHAUL
KENWOOD L-07D — 異音と回転不良を解消し、最高峰DDプレーヤーの本来の姿を取り戻す
軸受け摩耗による異音と45回転時の高速回転を完全修復。DDモーター分解整備、基板部品交換、全機構クリーニングを実施。
カテゴリ:WORKS
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ターンテーブル修理事例
Basic Info
基本情報
| メーカー | KENWOOD(ケンウッド) |
| モデル | L-07D |
| 種別 | アナログレコードプレーヤー(ダイレクトドライブ) |
| 発売年 | 1979年 |
Overview
概要
KENWOOD L-07Dは、1979年に発売されたケンウッドのLシリーズ唯一のアナログプレーヤーです。前年のオーディオフェアで公開された試作機R-6197をベースに製品化されたモデルで、ターンテーブルとしての性能を正攻法に追求した設計が特徴です。
最大の技術的特徴は「ダブルLOCK方式」と呼ばれる回転制御です。周波数成分の低い回転変動をクォーツPLLでロックし、レコード針のトレースによって生じるトランジェント(瞬間的)な負荷変動を、慣性モーメント1,025kg・cm²の重量級ターンテーブルで吸収します。ターンテーブルはアルミダイキャスト+ジュラルミン+ステンレスの3層構造で、ターンテーブルシートを含む総重量は5.5kgに達します。
キャビネットもARCB樹脂とマホガニーコンブライトの2層構造に硬質アルミフレームをインサートした「メタルインサート複合防振キャビネット」で、本体総重量は約33kg。あえてインシュレーターを排した構造で、回転の反作用による振動を機械的に接地させるという独自のアプローチを採っています。電源部は別筐体のセパレート設計で、ピックアップループへの電磁誘導を排除しています。
当時の定価は350,000円。現在も世界中のアナログオーディオ愛好家から高い評価を受け続けている名機です。
Diagnosis
診断
申告症状
「軸が擦れて異音がする」「45回転時に高速回転してしまう」
お預かり後の診断で、以下の状態を確認しました。
軸受け部分の摩耗により回転軸が落下し、回転数検知部品(FG検出基板)と干渉して異音が発生していました。この干渉による異常検知の結果、45回転時にサーボ制御が正常に機能せず高速回転状態となっていたことが判明しました。
また、経年によるコントロール基板・電源基板の電子部品の劣化、アーム機構部のグリス劣化、インシュレーター部の汚れの蓄積なども確認されました。
確認された不具合
・軸受けボールの摩耗 → 回転軸落下
・FG検出基板との干渉 → 異音発生
・45回転時の高速回転(サーボ制御異常)
・コントロール基板のIC・コンデンサ劣化
・電源基板の電解コンデンサ・IC劣化
・アーム機構部のグリス劣化
・インシュレーター汚れの蓄積
Repair Process
修理工程
01
状態確認・診断
指摘症状の再現確認、図面・回路図調査、劣化部品の特定と対応判断、各部の測定を実施しました。
02
部品選定・調達
製品状態に基づき、適切な交換部品を選定・調達しました。オリジナルの設計意図を尊重しつつ、信頼性の高い現行品を厳選しています。
03
軸受けボール交換
摩耗した軸受けボール(8mm鋼球)を新品に交換し、回転軸の安定性を回復させました。L-07Dの重量級ターンテーブルを支える要となる部分です。
04
DDモーター分解クリーニング
ダイレクトドライブモーターを完全分解し、内部の汚れや古いオイルを除去。新オイルを塗布し、回転部のスムーズな動作を回復しました。
05
コントロール基板 部品交換
IC(CD4022BE、CD4027BE、CD4066BE、TL431CP、RC4558P)、電解コンデンサ(Nichicon FW/FG/ES)、タンタルコンデンサ、半固定抵抗(コパル電子 RJ-6P各種)を交換。PLLサーボの安定した制御を確保しました。
06
電源基板 部品交換
電源基板の電解コンデンサとICを交換し、安定した電源供給を確保しました。ヒューズも新品に交換しています。
07
アーム機構部・インシュレーター クリーニング
トーンアーム機構部の劣化したグリスを除去し、新しいグリスを塗布。インシュレーターも分解クリーニングを行い、高さ調整機構の動作を回復しました。
08
回路調整・動作チェック
各部の回路調整をL-07Dサービスマニュアルに基づいて実施。PLLロック調整(33.3回転/45回転)、ワウフラッター調整を行い、音出しテストで正常動作を確認しました。
09
エージング・最終確認
50時間の長時間エージングを実施し、動作の安定性を確認。最終的な音出し確認と外装点検を経て完了としました。
▼ 修理前(お預かり時)の状態
▼ 修理後の状態
▼ 調整・測定
Parts
交換部品リスト
| 品名 |
数量 |
| IC(CD4022BE / CD4027BE / CD4066BE / TL431CP / RC4558P / CD4001UBE / CD40106BE) | 12 |
| 電解コンデンサ(FW 50V 100μF / FG 35V 22μF / ES 50V 10μF) | 6 |
| フィルムコンデンサ(EOL 100V 0.003μF / 0.01μF) | 2 |
| タンタルコンデンサ | 2 |
| 半固定抵抗(RJ-6P 20kΩ / 100kΩ / 200kΩ) | 7 |
| ヒューズ(250V 2A) | 2 |
| 鋼球(8mm) | 1 |
Results
修理結果
動作改善点
・異音の完全解消
・45回転時の正常動作を確認
・回転数の安定性向上(±0.1%以内)
・回転動作のスムーズ化
・アーム機構・インシュレーターの動作回復
修理完了後、L-07Dサービスマニュアルに基づき以下の検査・調整を実施し、全項目の正常動作を確認しました。
検査・調整項目
・ワウフラッタメーターで最小値に調整
・ストロボで33⅓回転確認
・ストロボで45回転確認
・回転時のモーター異音確認
・アーム機構の確認(高さ調整・リフター動作)
・針圧確認(ウエイト適正動作)
・ディスクでのトラッキング・トレース性能確認
・外装点検
・長時間エージング(50時間)
Technician Comment
技術者コメント
今回のL-07Dでは、軸受け部の摩耗により回転軸の位置が下がり、FG検出基板との干渉が発生していました。これが異音や45回転時の回転異常につながっていたと考えられます。
軸受け部の修復と調整に加え、制御基板まわりの劣化部品も交換し、修理後は回転状態・異音の有無・各動作を確認しました。長時間のエージングも行い、安定した状態でお使いいただけるよう仕上げています。
L-07Dのような重量級ダイレクトドライブプレーヤーは、機械精度と制御回路の両方が重要です。異音や回転不良などの症状がある場合、原因が単純な部品劣化だけでなく、軸受け・回転検出部・制御基板など複数箇所に及んでいるケースもあります。
Crafted Audio Servicesでは、症状だけで判断するのではなく、機器の構造や設計意図を踏まえながら状態を確認し、必要な整備をご提案しています。KENWOOD L-07Dをはじめ、レコードプレーヤーの異音・回転不良・動作不良などでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
Works
KENWOOD
Amplifier
Overhaul
KENWOOD L-02A
超弩級プリメインアンプの銘機を、当時のスペックで蘇らせる
Published: 2026年5月 | Category: Works | Crafted Audio Services
Overview
今回の修理について
L-02AはKENWOODファンのみならず、オーディオファンなら言わずと知れたニューセパレートプリメインアンプ。1982年の発売から約半世紀が経とうとしています。
当時からその驚愕な製品仕様は話題を呼びましたが、内部及びスペック的にも相当凝ったもの。弊社サービスではKENWOODにゆかりのあるスタッフが在籍しており、当時の設計思想や品質改善の経緯を理解した上での修理が可能です。
現在巷では、思いつく電解コンデンサやトランジスタだけ交換したメンテナンスも見受けられますが、当時これだけギリギリの高スペックをたたき出したモデルだけに、あらゆる箇所に劣化が進んでおります。故障箇所の修理だけではなく、向こう何年と安心して使って頂けるよう、さらに一番大事なのは当時の商品企画や開発など技術陣が目指し音質承認した状態に戻すべく、全面的なレストア修理を実施しました。
今回の作業に関しては、L-02Aの愛好家でもある宮崎県のK様からのご依頼で4機のL-02Aの作業を行い、故障個所の修繕だけではなく、今後永続的に安心してお使いただけるフルメンテナンス、またメーカーでの品質向上のための技術対策対応に留まらず、機体ごとのご要望に応じたカスタマイズも実施。それぞれ完了後はメンテナンスレポートの発行、実機測定を行い納品させていただきました。
| 修理対象 |
KENWOOD L-02A (S/No.20800168 / 20900116 / 20800084 / 3040053) |
| 主な症状 |
ノイズ発生、操作トレー不具合(動作不可、異音)、メインボリューム部分ガリ(含む左右バランス不良)、バランスボリューム全域ガリ、MC/MM切替不良、イルミランプ切れ、電源ON/OFF異常、音のニュアンスがおかしい(中高域の伸びや情報量が少ない、滲み) |
| 主な作業 |
故障個所修繕、全基板フラックス洗浄・半田吸取り・再半田、電解コンデンサ交換、初段回路修繕、ファイナルトランジスタ計測・放熱シリコン再塗布、ダイオード交換、ボリューム/スイッチ/リレー完全分解リフレッシュ、リレー交換、ロジックIC交換、コネクターリフレッシュ、ゴムベルト交換、メーカー品質改善対策、特性測定ほか
【オプション】初段回路トランジスタ各種追加作業、ファイナルトランジスタ交換(hfe整合)、バナナプラグSP端子交換
【カスタマイズ】内部信号ラインケーブルのモガミ製換装、電磁吸収シート貼付け |
Maintenance Policy
メンテナンス方針
L-02Aは、現在人気モデルでありながら良い状態を維持したものが少ない状況です。その主な理由が——
・多くの稼働時間が経過していること
・素子一つ一つや基板、半田など製品を構成する部品が経年で疲労、劣化を起こしている事
・非公認の修理者やメンテナンス業者によって修理修繕され正しい処置がされてない場合もある事
・互換部品によりオリジナル状態が維持されていない
K様ご依頼品については現時点でできる限りのオーバーホールとリファインを施す方針としました。K様と緻密なご連絡連携を実施し、オリジナル順守、フルメンテナンス、オプション作業及びカスタマイズ適応など、L-02Aの持つ本来のポテンシャルを引き出し維持する修理メンテナンスを基本とし、4個体それぞれの若干の仕様違いをお楽しみいただくような作業方針としました。
以降の記事は、4個体それぞれ代表的な症例、作業、写真と共にお伝えします。
入荷時内部全景 — ヒートシンクを中央に、左右対称の回路構成
Diagnosis
確認された不具合
ここでは表現しきれないほど経年劣化での不具合箇所が多くあります。我慢して使用する範囲では誤魔化しで対応できる不具合と、表面上では分かりえない不具合があります。全面的なメンテナンスのため、筐体の一部になっているヒートシンクやシャシー1枚レベルまで完全分解をしていきます。解析結果、内部不具合の一例を挙げます。
・ロジックIC不良
・ゴムベルト不良
・メインボリューム / バランスボリューム不良
・プッシュスイッチ不良
・トレー位置検出スイッチ不良
・配線スタイル取り不良
・貼り物劣化 / ランプ切れ
・トランジスタのマイグレーション / ウィスカによる不具合
・トランジスタ(hfe)不良及び互換品装着による不具合
・電解コンデンサ不良
・コネクタ接合不良
・半田不良(割れ、ドライアップ)
Repair Process
修理・メンテナンス工程
今回のL-02Aは、特別編として各工程を詳細にお伝えします。完全分解・徹底清掃から始まり、電源系、操作系、信号系、増幅系と、全ての回路に手を入れています。
1. 電源ケーブル
電源ケーブル/本体コネクターのオスピンは全て研磨し、接点不良や抵抗を持ちやすいクスミを除去。その後、接点グリースをまんべんなく塗布し保護しています。
電源コネクタピン — クリーニングを実施
電源ケーブルのコネクター内部は根本箇所がずれており、被覆をカシメておらず内部の線が出ている状態でした。被覆を留め具でしっかり留め直し、カバープレートもロックバネの汚れを落とし、細かい隅の汚れもできる限りクリーニング。電源ケーブル表面の汚れやベタつきは無水エタノールで除去しました。
2. 操作トレー / 内部清掃
「トレーが出ない」という現象はL-02Aではほぼ全数発生します。主に内部のベルト交換ですが、それだけでは完全な処置ではありません。トレーベルトを高トルク用の太い新品ゴムベルトに交換、トレーOPEN/CLOSE位置検出スイッチを新品部品に交換しクリティカルな検出位置修正を実施、トレーのガイドレール/ガイドローラーなど全て分解しクリーニングしました。
トレーのイン側には異音防止のための不織布が貼付されていましたが、これがトレーOPEN時に粘着物が張り付き、ぎこちない滑り出しの原因に。不織布を剥がし、その上からテフロンテープを貼付して改善しました。最終的には、ヒートシンク分解作業時に全てのシャーシをばらし、水拭きにて全体のクリーニングを実施しています。
トレー駆動部 — 機構分解によるゴムベルト交換、検出スイッチ交換、ガイドローラー清掃
3. 各種ボリューム・スイッチ — 完全分解清掃
L-02Aのボリューム・スイッチ類は、この機種で一番の難関です。特にマイクロスイッチに類する操作スイッチは、分解時に構成部品を紛失しやすいことから作業を嫌う業者が多い部分。弊社技術者が独自で開発した洗浄方法で、接点をクリーニングし保護します。
メインボリューム / バランスボリューム / ラウドネスボリューム
回転する摺動子は長年の摩擦や削れなどによる様々な異物が付着。
リフレッシュ前 — 摺動子・ディスク面に汚れが蓄積
清掃及び磨き上げ、ブラシ部分は先端の不揃いの並びを整え、接触部は8000〜15000番のフィルムにて鏡面的に研磨。ディスク側も削れ粉などの異物を除去しました。シャフトは長年の使用により回転グリスが完全に劣化。溶剤にて拭き上げ後、8000〜15000番フィルムで回転面のフェイスをより滑らかに。トルクグリスで適度の重さを調整し、高級機本来のボリューム感触の復元を行いました。部品組み上げ後、基準信号を入力し左右信号誤差を測定器で見ながら微調整し完了。
リフレッシュ後 — 各種作業を終え左右差の微調整(常用位置ヒアリング後、最適位置で左右バランスが合うように追い込み、右下:バランスボリューム清掃後)
各種スイッチ
内部で使用される各種スイッチの分解清掃を実施します。作業前は接点抵抗がかなりある状態。分解し接点研磨、その後無水エタノールで脱脂洗浄し、接点グリースで接点を保護。作業後、接点抵抗0Ωを確認。
特にΣセンサー切替スイッチはNFラインにも強く影響するため、丁寧なリフレッシュが求められます。
一方、イコライザー基板のMC/MM切替スイッチは、接点だけではなくソレノイド及びスイッチ機構全体の動きの悪さによる不稼働を起こす場合もあります。またソレノイド稼働のためのバッファリングのコンデンサ劣化の懸念もあり、総合的にリフレッシュしていきます。
各種スイッチ — リフレッシュ後の様子
マイクロスイッチ(トレー操作基板プッシュスイッチ、MUTEスイッチ)
本機で一番難儀な処理です。微細な特殊バネでロッドを保持しており、特殊方法で分離分解を行います。その後接点の硫化除去のため、特殊溶剤で超音波洗浄を行い、仕上げに接点グリスで保護。接点面の削れが酷い場合は、ラッピングフィルムで接点面を滑らかに整えます。
MUTE及びOPEN/CLOSEに使われるマイクロスイッチは、接点表面が黒く劣化し接点抵抗が数百Ω〜数kΩを持ち、押しても検知しにくい状態に。部品入手不可で、さらに基本的に分解不可の部品ですが分解清掃を行いました。清掃後、接点抵抗0Ωを確認し、プラスチックリブ溶解により封印。
リフレッシュ前後の比較 — 上:トレー操作基板スイッチ、下:MUTEスイッチ
4. 基板全般 — 再半田・クリーニング・コネクタ
基板の半田面はできる限りフラックスを洗い流し、クリーニングしています。部品面に関してもできる限り部品を外した状態で、専用溶剤で汚れを流し落としています。半田面は全ての半田を吸い取り、再半田を実施。
入荷時の半田の状況は、経年でのドライアップで半田がスカスカ状態になり、骨密度的な半田の質が低下、もちろん半田割れも見受けられます。
ピン数の多い信号系及び弱電のコネクタと、電力系の大きなコネクタの接合部は全て研磨清掃し、メスピンについてもテンション圧力の再調整を行います。
基板に取り付けられている部品のうち、半導体関連は経年での異物付着が認められます。これは、マイグレーション及びウィスカによるもので、電子的な誘導を受け音声ラインは突発的なノイズ発生や制御系においては異常動作の原因となっています。ICはオリジナル品番を極力入手し、調達不可の場合は足の裏表の研磨清掃及び足間の異物切削除去を行います。トランジスタについては、オプションでご要望頂ければオリジナル品番調達を行いますが、クリーニングで留める場合は足の研磨清掃と足間の切削清掃を行います。写真は基板一枚分の半導体清掃で撮れた異物の残渣です。
また基板上の小信号リレーも、ガス封印型でない場合は全数交換を行います。
基板1枚分の半導体清掃で採れたマイグレーション残渣
5. コンデンサ交換 / テフロンテープ
各所に使用されている大型の電解コンデンサには、微振動抑制のためボンドが使用されていますが、周辺部品の腐食を招きます。ボンド周辺の部品を外し徹底的に除去を行い、コンデンサは特性や劣化度を計測し継続使用か交換の判断を行います。その後、微振動抑制及び高周波特性を良くするためテフロンテープを巻き付け基板に取り付けます。
当サービスでは電解コンデンサ交換の必要性についてお客様と事前の確認を取ります。特性の20%誤差を逸脱する場合は無条件交換としておりますが、音声ラインなど特に重要な個所についてはオリジナル順守した場合がベストの場合もございます。特にこの時代のメーカーが肝いりの音響機器は、コンデンサメーカーへ特別製造させた独自仕様のコンデンサが多く使われているケースもあり、開発者の意図や音決めの要素が込められております。
6. 入力基板 / イコライザー基板
フラックス洗浄、半田吸取り、再半田、ダイオード交換、リレー交換、電解コンデンサ交換を実施。コネクター接点も研磨清掃を実施しています。トランジスタについては、マイグレーション除去作業実施し、ご依頼の4台のうち1台はお客様ご要望により可能な限りのトランジスタ/FETをオリジナル品番の新品に交換実施。
イコライザーの電源回路部には大き目の平滑コンデンサが並べられていますが、固定のためにボンドを塗布しています。該当部品だけではなく周辺部品も取り除き、ボンド除去、腐食部分の清掃及び部品交換を行います。
作業前後 — ボンドを丁寧に取り除き腐食リスクを低減 / ボンドによる腐食跡が基板を侵食
フォノイコライザーのMM/MC切替スイッチの分解清掃も実施。本機の特徴でもあるイコライザー回路は、カレントミラー回路のNF部を丸々切り替える非常に珍しい構造で、それをソレノイド(電磁石)で機械式スイッチをスライドさせます。接点が非常に黒ずんでいたため、接点清掃を実施。音声信号が通る非常に重要な箇所で、本来の音質を実現しています。
7. 初段増幅基板 — 今回の修理の核心
フラックス洗浄、半田吸取り、再半田、ボンド除去及び周辺の修繕、電解コンデンサの交換とテフロンテープ巻き付け、一部フィルムコンデンサへの換装、ジャンパーワイヤリング交換、ダイオード交換、リレー交換、半固定抵抗の交換を実施。コネクター接点も研磨清掃、接合圧調整を実施しています。トランジスタについては、マイグレーション除去作業実施し、ご依頼の1台のみお客様ご要望により全てのトランジスタ/FET/入力ICをオリジナル品番の新品に交換実施。
主要トランジスタ(TO126パッケージ品)は非常に発熱を起こすため、放熱考慮対策を行っています。標準作業ではアルミ板を採用し、面積を稼ぐ方法で純正よりも放熱しやすく工夫しております。
ご依頼の中でも1台だけ初段増幅回路の中核となる増幅トランジスタが、互換性に疑問が残る違う品番(2SA899のところ2SB941)へ交換されていました。スペック上ではオリジナル品番をおおよそ上回る数値はあるものの、音の再現で違いが出てきます。全てオリジナル品に揃える方針とし、2SA899、2SC2071、2SA939を新品のオリジナル品番に交換しました。
作業前後
カスタマイズのご依頼で比較的厚さのある銅板を使った熱伝導性を考慮した放熱板としました。特に温度の高いQ11〜Q16は1.5mm厚の銅板とし、それ以外は1.2mm厚の銅板としています。
放熱対策 — カスタマイズにより銅板での放熱板取り付け
この回路基板はTO126パッケージのトランジスタ足元の基板が、発熱による時間蓄積で炭化が進みます。一部はパターンが浮き不具合を生じている個体もあるほどです。ここの熱対策をしっかりすることにより末永く安心してご使用いただけます。
なお、基板半田面の当該箇所パターンに、パターン補強と放熱対策のためレジストを剥がし過度に半田盛りを行うとパターン間の寄生容量が生まれ発振しやすくなるため、作業/処理には特に注意が必要です。
半固定抵抗の交換・パターン補修
増幅素子のオフセット/アイドル電流を調整する半固定抵抗も経年劣化で、設定値が飛びファイナルトランジスタを壊す懸念があります。高信頼の多接点ポテンションメータに交換しています。
8. 電力増幅部 / ファイナルトランジスタ
出力リレー
ハイトが特殊で現在では入手できず、荒い改造で別のリレーを取り付けている方もおられますが、ここは接点研磨にて復活させています。電流スイッチですので電磁石の圧着も強いので、接点の表面研磨で十分です。接点研磨後は良く洗浄を行い、表面保護剤を軽く塗布。
ファイナルトランジスタ検査と交換
ファイナルトランジスタは低出力用と大出力用で分かれますが、ほとんどのL-02Aは各トランジスタごとにhfeの劣化が見られます。まずトランジスタとヒートシンクの分解を行い、ヒートシンクは古い放熱グリスを落とし丸洗い。品番ごとに劣化度の確認を行います。
中には代替の違う部品が使用されていることもありました。本来、低出力用/大出力用も東芝製であるべきものが、サンケン製のものが取り付けられている個体も。音のニュアンスが違ってきます。純正の東芝製に交換します。大出力用にhfeランク違いのものが混在していた状況。コンプリメントで動作するため、hfeを合わせることにしました。純正オリジナル品の東芝製2SA1095(O)/2SC2565(O)に左右全ての部品交換を行い、ヒートシンクに付着した古い放熱グリスも清掃し、新しいトランジスタ及び絶縁雲母に放熱グリスを再塗布しています。トランジスタ接合用の小基板も同様にフラックス洗浄、半田吸取り、再半田を行います。またトランジスタの足の方は、再度コネクションが生きるよう足の表面研磨、接合面のフラット化をしてソケットインします。
ファイナル段の各種作業
9. その他の処理・メーカー品質改善
※(OP)はオプショナルメニュー、(C)はカスタマイズで実施しています。
・(OP)バナナプラグ対応SP端子に交換(当社指定品)
・イルミネーションのランプ交換(当サービスでは当時の風合いを残すためLED化はお勧めしておりません)
・放熱スリットからの異物混入防止ネット貼付け(メーカー品質改善指示事項)
・(C)電磁吸収シートを各所の電解コンデンサ頭と初段増幅回路を囲むシャシー壁面に貼付け
・(C)内部信号ケーブルを純正コネクターケーブルからお客様ご指定ケーブルに付け替え
・外観パネル類は微粒子コンパウンド使用して研磨清掃
・遮光スポンジ劣化のため張り替え
・内部ケーブルショート防止のため、ヒートシンクの鋭利な角にテフロンテープ貼付で配線被覆への攻撃を防止(不具合予防)
・初段増幅回路基板のマウント部、絶縁処理作業(メーカー品質改善)
・イコライザー回路、高周波ハム対策作業(メーカー品質改善)
・パワーアンプ基板、異物混入によるショート防止処理(メーカー品質改善)
・パワーサプライユニット、トランスうなり対策(メーカー品質改善)
(OP)バナナプラグ対応SP端子に交換(当社指定品)
Board Summary
各基板の主要作業一覧
| 基板 |
主要作業 |
| 初段増幅基板 |
ボンド除去・腐食修正、コネクタ研磨清掃、電解コンデンサ交換、バイアスボリューム交換、フィルムコンデンサ換装、NFライン24Vリレー交換、ダイオード交換、各トランジスタ純正品番交換・ヒートシンク製作取付、オフセットボリューム交換、全半田吸取り再半田・基板コーティング、パターン劣化補修・グランド面増強 |
| イコライザー基板 |
全電解コンデンサ交換(ボンド除去)、抵抗交換、ダイオード交換、全トランジスタ足の研磨清掃、MC/MM切替ソレノイド分解清掃・スイッチ端子研磨、放熱グリス再塗布、オフセットボリューム交換、高周波ハム対策 |
| 操作基板 |
プッシュスイッチ分解清掃、ラウドネスボリューム分解清掃・中心位置調整、ハイグレードコンデンサ交換、コネクタピン研磨、フィルムコンデンサ換装、OPEN/CLOSEスイッチ分解清掃 |
| ロジック制御基板 |
モガミケーブル換装、ロジックIC交換、コネクタ研磨清掃、電解コンデンサ交換、トランジスタ足研磨、MUTEスイッチ分解清掃 |
| ファイナル基板 |
全電解コンデンサ交換、コネクタピン研磨清掃、出力リレー分解清掃、24Vリレー交換、RCA端子研磨、ファイナルトランジスタ取付基板の再半田、整流ダイオード交換、全ヒューズ交換 |
| 平滑基板 |
ブリッジダイオード交換、整流ダイオード交換(容量UP)、コネクタピン研磨 |
| パワーサプライ |
整流ダイオード交換、パワーリレー交換、電解コンデンサ交換 |
Results
測定結果
全作業完了後、APx500にて各種特性測定を実施しています。測定結果の詳細はメンテナンスレポートにてお客様に納品しています。
APx500による特性測定 — THD+N: Ch1 0.001484% / Ch2 0.001490%(1kHz, 約80W出力時)
From our technician
担当技術者より
L-02Aは、当時のKENWOODが総力を挙げて送り出した「超弩級」のプリメインアンプです。その設計思想は「妥協なき音質」の一言に尽きます。セパレート構成を1筐体に凝縮し、フォノイコライザーにはカレントミラー回路のNF部を丸々切り替える非常に珍しい構造を採用するなど、随所に独自の技術が光ります。
今回お預かりした4セットは、メーカーサービス実施、他の方によるメンテナンス実施、劣化具合など、不稼働やノイズ発生、オリジナルの音の表現やバランスが崩れていました。またL-02Aは、経年での衰えから定格50%辺りで発振しやすい個体もあるようです。この辺の対策をしっかりと行わないと、貴重なオーディオ資産を台無しにもしてしまいます。
私たちが目指したのは、当時の設計者たちが音質承認した状態への復元です。特に重要な初段増幅回路のトランジスタをオリジナル品番に戻し、ボリュームの完全分解から部品単体での特性取り、ファイナルトランジスタは左右全数を東芝製新品に交換した上で1本ずつhfeを計測し、左右チャンネルのバランスを整合。全基板の半田を一からやり直す。気の遠くなるような作業ですが、完成後の音を聴けばその価値は分かって頂けるはずです。
L-02Aをお持ちの方で、音の衰えやトレーの不具合、ノイズなどでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。この名機には、まだまだ現役で鳴り続ける力が残っています。
JBL 4311BWX
くたびれたスタジオモニターの本領を取り戻す
基本情報
| メーカー | JBL |
|---|
| モデル | 4311BWX |
|---|
| カテゴリ | スピーカーシステム |
|---|
| 発売年 | 1980年頃 |
|---|
| 作業内容 | フルレストア(ウーファー修復・アッテネーター分解清掃・エンクロージャー再仕上げ) |
|---|
概要
JBL 4311BWXは、世界中のスタジオや放送局で採用された4311シリーズの3代目にあたるスピーカーシステムです。低域に30cmコーン型ウーファー2213H、中域に13cmコーン型スコーカーLE5-10、高域に3.6cmコーン型トゥイーターLE25-2を搭載した3ウェイ構成で、ウーファーはネットワークを介さずフルレンジで動作するJBLらしい設計が特徴です。
フロントバッフルは、小スタジオや調整室での吊下げ使用を想定し、スコーカーとトゥイーターを下部に配置したユニットレイアウトを採用。中域・高域それぞれに独立したレベルコントロールを備え、フロントグリルを装着したままでも調整できる実用的なデザインとなっています。
今回の個体は、ウーファーの歪み、スコーカーのセンターキャップ潰れ、アッテネーターの経年劣化など複数の症状が見られたため、各ユニットの修復からエンクロージャーの再仕上げまで、総合的なレストア作業を実施しました。
診断
入荷後の動作確認において、ウーファーからの音声に歪みが確認されました。ダンパーおよびエッジの経年劣化が原因と判断しています。
スコーカーについては、センターキャップの潰れを確認。音声出力への影響に加え、外観上の問題もあるため交換対応としました。
アッテネーター(HF/MF)は、操作時のガリノイズや接触不良の兆候が見られたため、分解のうえ接点の状態を確認する方針としました。
エンクロージャーは全体的に経年による塗装のくすみや小傷が見られ、再仕上げが必要な状態でした。
作業内容
ウーファー(2213H)
ダンパー交換およびクロスエッジへの張替えを実施しました。あわせて、JBLの特徴であるホワイトコーンの着色も行い、外観・性能ともにリフレッシュしています。
スコーカー(LE5-10)
潰れていたセンターキャップを新品に交換しました。
アッテネーター(HF/MF)
HF・MFそれぞれのアッテネーターを取り外し、完全分解のうえ接点部を目視確認しながら磨き直しを実施。酸化・硫化防止の処置を施したうえで再組み上げしています。
エンクロージャー
古い塗装面を一層研磨で除去し、ウォールナットオイルで仕上げました。木目を活かした自然な風合いに再生しています。
その他
SP端子をバナナプラグ対応のものに交換し、使い勝手を向上させています。
写真
交換部品
| 部品名 | 対象ユニット | 備考 |
|---|
| ダンパー | ウーファー(2213H) | 交換 |
| クロスエッジ | ウーファー(2213H) | 張替え |
| コーン紙着色 | ウーファー(2213H) | ホワイトコーン再着色 |
| センターキャップ | スコーカー(LE5-10) | 新品交換 |
| SP端子 | 本体 | バナナプラグ対応品に交換 |
作業結果
スウィープ音源を使用した音質確認を実施し、歪みやノイズがないことを確認しました。HF/MFアッテネーターの動作確認も行い、ガリノイズなく全域でスムーズに動作しています。
ウーファーのダンパー・エッジ交換により低域の再生能力が回復し、ホワイトコーンの再着色とエンクロージャーのオイル仕上げにより、外観も含めてトータルにリフレッシュされた状態に仕上がっています。
技術者コメント
4311シリーズはJBLのモニタースピーカーの代名詞的な存在で、中でもBWXはウォールナット仕上げの落ち着いた佇まいが魅力のモデルです。ウーファーがネットワークを介さずフルレンジで動作する設計は、JBLらしいダイレクト感のあるサウンドにつながっています。
今回はウーファーのダンパーとエッジ、スコーカーのセンターキャップと、振動系パーツを中心に手を入れています。特にウーファーの修復はこのスピーカーの心臓部にあたる作業なので、コーンの着色も含めて丁寧に仕上げました。アッテネーターも完全分解して接点を磨き直しているので、レベル調整も本来のスムーズな操作感に戻っています。
エンクロージャーは古い塗装を落としてウォールナットオイルで仕上げ直しているので、木目が綺麗に出ています。見た目も音も、しっかりリフレッシュできた一台だと思います。
経年劣化した1970年代の銘機を、蘇らせるまで
Crafted Audio Services | 2025年12月
今回の修理について
SANSUI AU-666。1970年代を代表するプリメインアンプのひとつです。今回はお預かり時点で保存状態が悪く、外装・内部ともに長年の使用と保管による劣化が全体に及んでいました。
基板上のはんだ劣化・腐食、ヒューズ切れ、トランジスタリードの劣化など、複数の不具合が重なった状態でした。製品本来の特長を活かしながら、今後安心して使用できるよう全面的なレストアを実施しました。
| 修理対象 | SANSUI AU-666 |
|---|
| 主な作業 | 劣化部品交換 / 全基板はんだ再施工 / スイッチ・ボリューム分解清掃 |
| 修理完了 | 2025年12月 |
確認された不具合
基板・はんだの劣化と腐食
製造から約50年が経過し、基板上のはんだ全体に劣化・腐食が進行していました。ヒューズ切れおよびトランジスタリードの劣化も確認。放置すれば断線や発煙のリスクもある状態でした。
スイッチ・ボリュームの汚損
各スイッチおよびボリュームの接点部に酸化・汚れが堆積し、操作時のノイズ発生が確認されました。完全分解のうえ清掃・酸化防止処置を実施しています。
作業工程
1 状態確認・診断
外装・内部の全体確認、回路図調査、測定器による各部電圧チェック。不具合箇所の特定と対応方針の決定。
2 部品選定・調達
劣化・破損が確認された各部品を選定。ダイオード、トランジスタ、電解コンデンサ、ブロックコンデンサ、半固定抵抗、ヒューズ、RCA端子、電源コードを調達。
3 部品交換・基板修正
劣化部品を交換後、全基板の旧はんだを吸取・除去し無鉛はんだで再施工。フラックス洗浄、基板コーティングを実施。
4 スイッチ・ボリューム清掃
スイッチとボリュームを完全分解し接点部を磨き直し。酸化・硫化防止処置を施しました。
5 回路調整・動作確認
オフセット・バイアス調整後、オーディオオシレーターとオシロスコープで各入出力波形を確認。APx555で歪率・F特性を測定し全項目クリアにて完了。
作業前後写真
交換部品
| 部品名 | 内容 |
|---|
| ダイオード | 劣化品を新品交換 |
| トランジスタ(一部) | 劣化品を新品交換 |
| 電解コンデンサ | 劣化品を新品交換 |
| ブロックコンデンサ | 劣化品を新品交換 |
| 半固定抵抗 | 劣化品を新品交換 |
| ヒューズ | 切断品を新品交換 |
| RCA端子 | 劣化品を新品交換 |
| 電源コード | 劣化品を新品交換 |
製品の特長を活かしつつ、今後安心して使用できるよう全て分解、洗浄、修理、組み立て、調整を行い、徹底的なメンテナンスを実施しました。
修理後の確認
スイッチ切り替え時・ボリューム動作時のノイズが完全に解消。歪率は仕様書数値以内を確認、F特性は仕様書通りのカーブを確認しました。回路調整はサービスマニュアルに準拠しています。
担当技術者より
AU-666最大の特徴は、パワーアンプ部が国産初のピュアコンプリメンタリ回路を採用したことです。NPNとPNPトランジスタを組み合わせたOCL(アウトプットカップリングコンデンサレス)方式は、JBL SA600と同じアプローチであり、そのサウンドの良さからSANSUIも採用したと言われています。
50年を経た今も、この設計思想は現代のアンプに通じるものがあります。時代を超えて愛される理由が、作業を通じて改めて伝わってきた一台でした。
修理実績
プリメインアンプ
SANSUI
ヴィンテージオーディオ
SANSUI AU-α907i
右チャンネル音切れの原因と修復
経年劣化したSP出力リレーとドライブ基板はんだクラック——「07シリーズ」最上位機の本来の音を取り戻すまで
Crafted Audio Services
|
2025年3月
Overview
今回の修理について
SANSUI AU-α907i。SANSUIが誇る「07シリーズ」の最上位機種として、1990年代のオーディオシーンを牽引した一台です。今回は「右チャンネルの音が出たり出なかったりする」という症状でご依頼をいただきました。
このような断続的な音切れは複数の原因が絡み合うことが多く、診断には回路図調査と実測の両アプローチが必要です。今回もSP出力リレーの接点劣化とドライブ基板上のはんだクラックという、いずれも経年劣化に起因する2つの不具合が重なって発生していました。
| 修理対象 |
SANSUI AU-α907i |
| 申告症状 |
右ch音が出ず、急に出たりする |
| 主な作業 |
SP出力リレー交換 / ドライブ基板はんだ修正 / 各部クリーニング |
| 修理完了 |
2025年3月 |
Diagnosis
確認された不具合:2つの根本原因
通電確認では左チャンネルは正常出力、右チャンネルは完全に無音。まず疑うべきはSP出力リレーです。
不具合① SP出力リレー接点不良
リレー接点が経年劣化により酸化・汚損し、通電不良を引き起こしていました。本機に使用されていた松下電器製リレーは製造から数十年が経過しており、密閉型でないため内部への微細な汚染が進行。接点をオープンにした状態でも酸化膜の形成が確認されています。
不具合② ドライブ基板のはんだクラック
基板を精査したところ、特定のトランジスタ周辺のはんだにクラック(ひび割れ)を発見。長年の熱サイクルによる膨張・収縮の繰り返しがはんだを疲労させ、断続的な接触不良を招いていました。また製造時の基板固定ボンドが加水分解し、半導体のリード部に腐食を引き起こしていた箇所も併せて確認・処置しています。
Repair Process
作業工程
1
状態確認・診断
申告症状の再現確認、回路図・図面調査、測定器による各部電圧・波形チェック。不具合箇所の特定と対応方針の決定。
2
部品選定・調達
オリジナルの松下製リレーに対し、OMRON製密閉型リレー(G4W-2214P-DC24)を選定。特性・サイズ・定格を確認のうえ調達。
3
部品交換・基板修正
SP出力リレーを両ch同時交換。ドライブ基板はフラックス塗布後に旧はんだを除去し、無鉛はんだで再施工。ボンド腐食箇所の清掃処置も実施。
4
クリーニング
SP端子・RCA端子の酸化除去、ボリューム・スイッチ類のエアブロー清掃、外装クリーニング。
5
動作確認・エージング
各スイッチ動作・入出力波形を確認後、50時間の長時間エージングを実施。全項目クリアにて完了。
Parts
交換部品
| 部品名 |
旧部品 |
交換品 |
数量 |
| SP出力リレー |
松下電器製 |
OMRON G4W-2214P-DC24 |
2個(両ch) |
片側のリレーが劣化している場合、製造年代が同じもう一方も同等に疲弊しています。再修理のリスクを避けるため、両チャンネル分を同時交換しています。
Results
修理後の確認
各スイッチ動作・入出力波形チェック、50時間エージングをすべてクリア。右チャンネルの音切れは完全に解消され、はんだ修正により音の立ち上がり改善と左右バランスの均一化も確認しました。
From our technician
AU-α907iは私自身も愛用している一台で、「07シリーズ」の設計思想が随所に凝縮されています。今回の作業でも改めてその精巧さを実感しました。だからこそ「相応しい仕上がりにしなければ」という思いで、細部まで妥協せず取り組みました。
この機種をお持ちの方で「音が出たり出なかったりする」という症状が出ている場合、今回と同じ組み合わせの可能性があります。諦めずに一度お気軽にご相談ください。
名機のL-02A人気に埋もれそうなL-01Aですが、デザインと言い独特の特異性を放つ個性豊かなアンプです。
非磁性体にこだわった製品企画上、筐体や各種部品への非磁性体考慮だけではなく、L-02Aと違った設計アプローチで作られたことが分かります。
例えば、回路を取り巻くグランドパターン。重要回路には半田面だけではなく部品面にもグランドパターンを這わした疑似両面基板、そうでない基板についてはグランドパターンだけでなく互いの干渉を防ぐ意味でも全体的にゆとりを持ったパターン設計がされています。
フォノイコライザー回路については、基板の中央には左右の干渉を防ぐため銅板によるバスバーでセパレート、パワーアンプ回路からSP端子までのグランドパターンも銅板バスバーでコネクションされています。
小信号が通るラウドネス/バランスON-OFF/Rec-Outスイッチには、硬質金メッキ処理端子が有名ですがそのスイッチを覆うカバーもぬかりなくアルミ製で、こちらも非磁性体のこだわりが垣間見れます。
当時の商品企画の方に伺うと、一般的なオーディオ機器では常識の鉄板などによる筐体カバーではないため、外来ノイズや信号干渉に相当労力を注がれたと。
もうこのような個性の強い製品は出ないのではないかと思います。
この時代のL-01Aは、すでに完動品及び状態の良いものがほとんどなく、フルメンテで蘇らせると当時TRIOがどのような想いでこの製品を開発し世に送り出したか良くお分かりいただけるかと思います。
分厚いアクリルパネルで覆われたフロントパネルは、電源を入れるとたちまち電球による優しい光でオペレーション状態を浮かび上がらせてくれます。
貴方の大事なオーディオルームで、少し部屋の照明を落としL-01Aの精悍な佇まいと、奏でる音の良さを体験してみてはいかがでしょうか。