KENWOOD L-02A
超弩級プリメインアンプの銘機を、当時のスペックで蘇らせる
今回の修理について
L-02AはKENWOODファンのみならず、オーディオファンなら言わずと知れたニューセパレートプリメインアンプ。1982年の発売から約半世紀が経とうとしています。
当時からその驚愕な製品仕様は話題を呼びましたが、内部及びスペック的にも相当凝ったもの。弊社サービスではKENWOODにゆかりのあるスタッフが在籍しており、当時の設計思想や品質改善の経緯を理解した上での修理が可能です。
現在巷では、思いつく電解コンデンサやトランジスタだけ交換したメンテナンスも見受けられますが、当時これだけギリギリの高スペックをたたき出したモデルだけに、あらゆる箇所に劣化が進んでおります。故障箇所の修理だけではなく、向こう何年と安心して使って頂けるよう、さらに一番大事なのは当時の商品企画や開発など技術陣が目指し音質承認した状態に戻すべく、全面的なレストア修理を実施しました。
今回の作業に関しては、L-02Aの愛好家でもある宮崎県のK様からのご依頼で4機のL-02Aの作業を行い、故障個所の修繕だけではなく、今後永続的に安心してお使いただけるフルメンテナンス、またメーカーでの品質向上のための技術対策対応に留まらず、機体ごとのご要望に応じたカスタマイズも実施。それぞれ完了後はメンテナンスレポートの発行、実機測定を行い納品させていただきました。
| 修理対象 | KENWOOD L-02A (S/No.20800168 / 20900116 / 20800084 / 3040053) |
| 主な症状 | ノイズ発生、操作トレー不具合(動作不可、異音)、メインボリューム部分ガリ(含む左右バランス不良)、バランスボリューム全域ガリ、MC/MM切替不良、イルミランプ切れ、電源ON/OFF異常、音のニュアンスがおかしい(中高域の伸びや情報量が少ない、滲み) |
| 主な作業 | 故障個所修繕、全基板フラックス洗浄・半田吸取り・再半田、電解コンデンサ交換、初段回路修繕、ファイナルトランジスタ計測・放熱シリコン再塗布、ダイオード交換、ボリューム/スイッチ/リレー完全分解リフレッシュ、リレー交換、ロジックIC交換、コネクターリフレッシュ、ゴムベルト交換、メーカー品質改善対策、特性測定ほか 【オプション】初段回路トランジスタ各種追加作業、ファイナルトランジスタ交換(hfe整合)、バナナプラグSP端子交換 【カスタマイズ】内部信号ラインケーブルのモガミ製換装、電磁吸収シート貼付け |
メンテナンス方針
L-02Aは、現在人気モデルでありながら良い状態を維持したものが少ない状況です。その主な理由が——
・多くの稼働時間が経過していること
・素子一つ一つや基板、半田など製品を構成する部品が経年で疲労、劣化を起こしている事
・非公認の修理者やメンテナンス業者によって修理修繕され正しい処置がされてない場合もある事
・互換部品によりオリジナル状態が維持されていない
K様ご依頼品については現時点でできる限りのオーバーホールとリファインを施す方針としました。K様と緻密なご連絡連携を実施し、オリジナル順守、フルメンテナンス、オプション作業及びカスタマイズ適応など、L-02Aの持つ本来のポテンシャルを引き出し維持する修理メンテナンスを基本とし、4個体それぞれの若干の仕様違いをお楽しみいただくような作業方針としました。
以降の記事は、4個体それぞれ代表的な症例、作業、写真と共にお伝えします。
入荷時内部全景 — ヒートシンクを中央に、左右対称の回路構成
確認された不具合
ここでは表現しきれないほど経年劣化での不具合箇所が多くあります。我慢して使用する範囲では誤魔化しで対応できる不具合と、表面上では分かりえない不具合があります。全面的なメンテナンスのため、筐体の一部になっているヒートシンクやシャシー1枚レベルまで完全分解をしていきます。解析結果、内部不具合の一例を挙げます。
・ロジックIC不良
・ゴムベルト不良
・メインボリューム / バランスボリューム不良
・プッシュスイッチ不良
・トレー位置検出スイッチ不良
・配線スタイル取り不良
・貼り物劣化 / ランプ切れ
・トランジスタのマイグレーション / ウィスカによる不具合
・トランジスタ(hfe)不良及び互換品装着による不具合
・電解コンデンサ不良
・コネクタ接合不良
・半田不良(割れ、ドライアップ)
修理・メンテナンス工程
今回のL-02Aは、特別編として各工程を詳細にお伝えします。完全分解・徹底清掃から始まり、電源系、操作系、信号系、増幅系と、全ての回路に手を入れています。
電源ケーブル/本体コネクターのオスピンは全て研磨し、接点不良や抵抗を持ちやすいクスミを除去。その後、接点グリースをまんべんなく塗布し保護しています。
電源コネクタピン — クリーニングを実施
電源ケーブルのコネクター内部は根本箇所がずれており、被覆をカシメておらず内部の線が出ている状態でした。被覆を留め具でしっかり留め直し、カバープレートもロックバネの汚れを落とし、細かい隅の汚れもできる限りクリーニング。電源ケーブル表面の汚れやベタつきは無水エタノールで除去しました。
「トレーが出ない」という現象はL-02Aではほぼ全数発生します。主に内部のベルト交換ですが、それだけでは完全な処置ではありません。トレーベルトを高トルク用の太い新品ゴムベルトに交換、トレーOPEN/CLOSE位置検出スイッチを新品部品に交換しクリティカルな検出位置修正を実施、トレーのガイドレール/ガイドローラーなど全て分解しクリーニングしました。
トレーのイン側には異音防止のための不織布が貼付されていましたが、これがトレーOPEN時に粘着物が張り付き、ぎこちない滑り出しの原因に。不織布を剥がし、その上からテフロンテープを貼付して改善しました。最終的には、ヒートシンク分解作業時に全てのシャーシをばらし、水拭きにて全体のクリーニングを実施しています。
トレー駆動部 — 機構分解によるゴムベルト交換、検出スイッチ交換、ガイドローラー清掃
L-02Aのボリューム・スイッチ類は、この機種で一番の難関です。特にマイクロスイッチに類する操作スイッチは、分解時に構成部品を紛失しやすいことから作業を嫌う業者が多い部分。弊社技術者が独自で開発した洗浄方法で、接点をクリーニングし保護します。
メインボリューム / バランスボリューム / ラウドネスボリューム
回転する摺動子は長年の摩擦や削れなどによる様々な異物が付着。
リフレッシュ前 — 摺動子・ディスク面に汚れが蓄積
清掃及び磨き上げ、ブラシ部分は先端の不揃いの並びを整え、接触部は8000〜15000番のフィルムにて鏡面的に研磨。ディスク側も削れ粉などの異物を除去しました。シャフトは長年の使用により回転グリスが完全に劣化。溶剤にて拭き上げ後、8000〜15000番フィルムで回転面のフェイスをより滑らかに。トルクグリスで適度の重さを調整し、高級機本来のボリューム感触の復元を行いました。部品組み上げ後、基準信号を入力し左右信号誤差を測定器で見ながら微調整し完了。
リフレッシュ後 — 各種作業を終え左右差の微調整(常用位置ヒアリング後、最適位置で左右バランスが合うように追い込み、右下:バランスボリューム清掃後)
各種スイッチ
内部で使用される各種スイッチの分解清掃を実施します。作業前は接点抵抗がかなりある状態。分解し接点研磨、その後無水エタノールで脱脂洗浄し、接点グリースで接点を保護。作業後、接点抵抗0Ωを確認。
特にΣセンサー切替スイッチはNFラインにも強く影響するため、丁寧なリフレッシュが求められます。
一方、イコライザー基板のMC/MM切替スイッチは、接点だけではなくソレノイド及びスイッチ機構全体の動きの悪さによる不稼働を起こす場合もあります。またソレノイド稼働のためのバッファリングのコンデンサ劣化の懸念もあり、総合的にリフレッシュしていきます。
各種スイッチ — リフレッシュ後の様子
マイクロスイッチ(トレー操作基板プッシュスイッチ、MUTEスイッチ)
本機で一番難儀な処理です。微細な特殊バネでロッドを保持しており、特殊方法で分離分解を行います。その後接点の硫化除去のため、特殊溶剤で超音波洗浄を行い、仕上げに接点グリスで保護。接点面の削れが酷い場合は、ラッピングフィルムで接点面を滑らかに整えます。
MUTE及びOPEN/CLOSEに使われるマイクロスイッチは、接点表面が黒く劣化し接点抵抗が数百Ω〜数kΩを持ち、押しても検知しにくい状態に。部品入手不可で、さらに基本的に分解不可の部品ですが分解清掃を行いました。清掃後、接点抵抗0Ωを確認し、プラスチックリブ溶解により封印。
リフレッシュ前後の比較 — 上:トレー操作基板スイッチ、下:MUTEスイッチ
基板の半田面はできる限りフラックスを洗い流し、クリーニングしています。部品面に関してもできる限り部品を外した状態で、専用溶剤で汚れを流し落としています。半田面は全ての半田を吸い取り、再半田を実施。
入荷時の半田の状況は、経年でのドライアップで半田がスカスカ状態になり、骨密度的な半田の質が低下、もちろん半田割れも見受けられます。
ピン数の多い信号系及び弱電のコネクタと、電力系の大きなコネクタの接合部は全て研磨清掃し、メスピンについてもテンション圧力の再調整を行います。
基板に取り付けられている部品のうち、半導体関連は経年での異物付着が認められます。これは、マイグレーション及びウィスカによるもので、電子的な誘導を受け音声ラインは突発的なノイズ発生や制御系においては異常動作の原因となっています。ICはオリジナル品番を極力入手し、調達不可の場合は足の裏表の研磨清掃及び足間の異物切削除去を行います。トランジスタについては、オプションでご要望頂ければオリジナル品番調達を行いますが、クリーニングで留める場合は足の研磨清掃と足間の切削清掃を行います。写真は基板一枚分の半導体清掃で撮れた異物の残渣です。
また基板上の小信号リレーも、ガス封印型でない場合は全数交換を行います。
基板1枚分の半導体清掃で採れたマイグレーション残渣
各所に使用されている大型の電解コンデンサには、微振動抑制のためボンドが使用されていますが、周辺部品の腐食を招きます。ボンド周辺の部品を外し徹底的に除去を行い、コンデンサは特性や劣化度を計測し継続使用か交換の判断を行います。その後、微振動抑制及び高周波特性を良くするためテフロンテープを巻き付け基板に取り付けます。
当サービスでは電解コンデンサ交換の必要性についてお客様と事前の確認を取ります。特性の20%誤差を逸脱する場合は無条件交換としておりますが、音声ラインなど特に重要な個所についてはオリジナル順守した場合がベストの場合もございます。特にこの時代のメーカーが肝いりの音響機器は、コンデンサメーカーへ特別製造させた独自仕様のコンデンサが多く使われているケースもあり、開発者の意図や音決めの要素が込められております。
フラックス洗浄、半田吸取り、再半田、ダイオード交換、リレー交換、電解コンデンサ交換を実施。コネクター接点も研磨清掃を実施しています。トランジスタについては、マイグレーション除去作業実施し、ご依頼の4台のうち1台はお客様ご要望により可能な限りのトランジスタ/FETをオリジナル品番の新品に交換実施。
イコライザーの電源回路部には大き目の平滑コンデンサが並べられていますが、固定のためにボンドを塗布しています。該当部品だけではなく周辺部品も取り除き、ボンド除去、腐食部分の清掃及び部品交換を行います。
作業前後 — ボンドを丁寧に取り除き腐食リスクを低減 / ボンドによる腐食跡が基板を侵食
フォノイコライザーのMM/MC切替スイッチの分解清掃も実施。本機の特徴でもあるイコライザー回路は、カレントミラー回路のNF部を丸々切り替える非常に珍しい構造で、それをソレノイド(電磁石)で機械式スイッチをスライドさせます。接点が非常に黒ずんでいたため、接点清掃を実施。音声信号が通る非常に重要な箇所で、本来の音質を実現しています。
フラックス洗浄、半田吸取り、再半田、ボンド除去及び周辺の修繕、電解コンデンサの交換とテフロンテープ巻き付け、一部フィルムコンデンサへの換装、ジャンパーワイヤリング交換、ダイオード交換、リレー交換、半固定抵抗の交換を実施。コネクター接点も研磨清掃、接合圧調整を実施しています。トランジスタについては、マイグレーション除去作業実施し、ご依頼の1台のみお客様ご要望により全てのトランジスタ/FET/入力ICをオリジナル品番の新品に交換実施。
主要トランジスタ(TO126パッケージ品)は非常に発熱を起こすため、放熱考慮対策を行っています。標準作業ではアルミ板を採用し、面積を稼ぐ方法で純正よりも放熱しやすく工夫しております。
ご依頼の中でも1台だけ初段増幅回路の中核となる増幅トランジスタが、互換性に疑問が残る違う品番(2SA899のところ2SB941)へ交換されていました。スペック上ではオリジナル品番をおおよそ上回る数値はあるものの、音の再現で違いが出てきます。全てオリジナル品に揃える方針とし、2SA899、2SC2071、2SA939を新品のオリジナル品番に交換しました。
作業前後
カスタマイズのご依頼で比較的厚さのある銅板を使った熱伝導性を考慮した放熱板としました。特に温度の高いQ11〜Q16は1.5mm厚の銅板とし、それ以外は1.2mm厚の銅板としています。
放熱対策 — カスタマイズにより銅板での放熱板取り付け
この回路基板はTO126パッケージのトランジスタ足元の基板が、発熱による時間蓄積で炭化が進みます。一部はパターンが浮き不具合を生じている個体もあるほどです。ここの熱対策をしっかりすることにより末永く安心してご使用いただけます。
なお、基板半田面の当該箇所パターンに、パターン補強と放熱対策のためレジストを剥がし過度に半田盛りを行うとパターン間の寄生容量が生まれ発振しやすくなるため、作業/処理には特に注意が必要です。
半固定抵抗の交換・パターン補修
増幅素子のオフセット/アイドル電流を調整する半固定抵抗も経年劣化で、設定値が飛びファイナルトランジスタを壊す懸念があります。高信頼の多接点ポテンションメータに交換しています。
出力リレー
ハイトが特殊で現在では入手できず、荒い改造で別のリレーを取り付けている方もおられますが、ここは接点研磨にて復活させています。電流スイッチですので電磁石の圧着も強いので、接点の表面研磨で十分です。接点研磨後は良く洗浄を行い、表面保護剤を軽く塗布。
ファイナルトランジスタ検査と交換
ファイナルトランジスタは低出力用と大出力用で分かれますが、ほとんどのL-02Aは各トランジスタごとにhfeの劣化が見られます。まずトランジスタとヒートシンクの分解を行い、ヒートシンクは古い放熱グリスを落とし丸洗い。品番ごとに劣化度の確認を行います。
中には代替の違う部品が使用されていることもありました。本来、低出力用/大出力用も東芝製であるべきものが、サンケン製のものが取り付けられている個体も。音のニュアンスが違ってきます。純正の東芝製に交換します。大出力用にhfeランク違いのものが混在していた状況。コンプリメントで動作するため、hfeを合わせることにしました。純正オリジナル品の東芝製2SA1095(O)/2SC2565(O)に左右全ての部品交換を行い、ヒートシンクに付着した古い放熱グリスも清掃し、新しいトランジスタ及び絶縁雲母に放熱グリスを再塗布しています。トランジスタ接合用の小基板も同様にフラックス洗浄、半田吸取り、再半田を行います。またトランジスタの足の方は、再度コネクションが生きるよう足の表面研磨、接合面のフラット化をしてソケットインします。
ファイナル段の各種作業
※(OP)はオプショナルメニュー、(C)はカスタマイズで実施しています。
・(OP)バナナプラグ対応SP端子に交換(当社指定品)
・イルミネーションのランプ交換(当サービスでは当時の風合いを残すためLED化はお勧めしておりません)
・放熱スリットからの異物混入防止ネット貼付け(メーカー品質改善指示事項)
・(C)電磁吸収シートを各所の電解コンデンサ頭と初段増幅回路を囲むシャシー壁面に貼付け
・(C)内部信号ケーブルを純正コネクターケーブルからお客様ご指定ケーブルに付け替え
・外観パネル類は微粒子コンパウンド使用して研磨清掃
・遮光スポンジ劣化のため張り替え
・内部ケーブルショート防止のため、ヒートシンクの鋭利な角にテフロンテープ貼付で配線被覆への攻撃を防止(不具合予防)
・初段増幅回路基板のマウント部、絶縁処理作業(メーカー品質改善)
・イコライザー回路、高周波ハム対策作業(メーカー品質改善)
・パワーアンプ基板、異物混入によるショート防止処理(メーカー品質改善)
・パワーサプライユニット、トランスうなり対策(メーカー品質改善)
(OP)バナナプラグ対応SP端子に交換(当社指定品)
各基板の主要作業一覧
| 基板 | 主要作業 |
|---|---|
| 初段増幅基板 | ボンド除去・腐食修正、コネクタ研磨清掃、電解コンデンサ交換、バイアスボリューム交換、フィルムコンデンサ換装、NFライン24Vリレー交換、ダイオード交換、各トランジスタ純正品番交換・ヒートシンク製作取付、オフセットボリューム交換、全半田吸取り再半田・基板コーティング、パターン劣化補修・グランド面増強 |
| イコライザー基板 | 全電解コンデンサ交換(ボンド除去)、抵抗交換、ダイオード交換、全トランジスタ足の研磨清掃、MC/MM切替ソレノイド分解清掃・スイッチ端子研磨、放熱グリス再塗布、オフセットボリューム交換、高周波ハム対策 |
| 操作基板 | プッシュスイッチ分解清掃、ラウドネスボリューム分解清掃・中心位置調整、ハイグレードコンデンサ交換、コネクタピン研磨、フィルムコンデンサ換装、OPEN/CLOSEスイッチ分解清掃 |
| ロジック制御基板 | モガミケーブル換装、ロジックIC交換、コネクタ研磨清掃、電解コンデンサ交換、トランジスタ足研磨、MUTEスイッチ分解清掃 |
| ファイナル基板 | 全電解コンデンサ交換、コネクタピン研磨清掃、出力リレー分解清掃、24Vリレー交換、RCA端子研磨、ファイナルトランジスタ取付基板の再半田、整流ダイオード交換、全ヒューズ交換 |
| 平滑基板 | ブリッジダイオード交換、整流ダイオード交換(容量UP)、コネクタピン研磨 |
| パワーサプライ | 整流ダイオード交換、パワーリレー交換、電解コンデンサ交換 |
測定結果
全作業完了後、APx500にて各種特性測定を実施しています。測定結果の詳細はメンテナンスレポートにてお客様に納品しています。
APx500による特性測定 — THD+N: Ch1 0.001484% / Ch2 0.001490%(1kHz, 約80W出力時)
担当技術者より
Crafted Audio Services
修理技術者
L-02Aは、当時のKENWOODが総力を挙げて送り出した「超弩級」のプリメインアンプです。その設計思想は「妥協なき音質」の一言に尽きます。セパレート構成を1筐体に凝縮し、フォノイコライザーにはカレントミラー回路のNF部を丸々切り替える非常に珍しい構造を採用するなど、随所に独自の技術が光ります。
今回お預かりした4セットは、メーカーサービス実施、他の方によるメンテナンス実施、劣化具合など、不稼働やノイズ発生、オリジナルの音の表現やバランスが崩れていました。またL-02Aは、経年での衰えから定格50%辺りで発振しやすい個体もあるようです。この辺の対策をしっかりと行わないと、貴重なオーディオ資産を台無しにもしてしまいます。
私たちが目指したのは、当時の設計者たちが音質承認した状態への復元です。特に重要な初段増幅回路のトランジスタをオリジナル品番に戻し、ボリュームの完全分解から部品単体での特性取り、ファイナルトランジスタは左右全数を東芝製新品に交換した上で1本ずつhfeを計測し、左右チャンネルのバランスを整合。全基板の半田を一からやり直す。気の遠くなるような作業ですが、完成後の音を聴けばその価値は分かって頂けるはずです。
L-02Aをお持ちの方で、音の衰えやトレーの不具合、ノイズなどでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。この名機には、まだまだ現役で鳴り続ける力が残っています。