経年劣化した1970年代の銘機を、蘇らせるまで

Crafted Audio Services | 2025年12月




今回の修理について

SANSUI AU-666。1970年代を代表するプリメインアンプのひとつです。今回はお預かり時点で保存状態が悪く、外装・内部ともに長年の使用と保管による劣化が全体に及んでいました。

基板上のはんだ劣化・腐食、ヒューズ切れ、トランジスタリードの劣化など、複数の不具合が重なった状態でした。製品本来の特長を活かしながら、今後安心して使用できるよう全面的なレストアを実施しました。

修理対象SANSUI AU-666
主な作業劣化部品交換 / 全基板はんだ再施工 / スイッチ・ボリューム分解清掃
修理完了2025年12月


確認された不具合

基板・はんだの劣化と腐食

製造から約50年が経過し、基板上のはんだ全体に劣化・腐食が進行していました。ヒューズ切れおよびトランジスタリードの劣化も確認。放置すれば断線や発煙のリスクもある状態でした。

スイッチ・ボリュームの汚損

各スイッチおよびボリュームの接点部に酸化・汚れが堆積し、操作時のノイズ発生が確認されました。完全分解のうえ清掃・酸化防止処置を実施しています。



作業工程

1 状態確認・診断

外装・内部の全体確認、回路図調査、測定器による各部電圧チェック。不具合箇所の特定と対応方針の決定。

2 部品選定・調達

劣化・破損が確認された各部品を選定。ダイオード、トランジスタ、電解コンデンサ、ブロックコンデンサ、半固定抵抗、ヒューズ、RCA端子、電源コードを調達。

3 部品交換・基板修正

劣化部品を交換後、全基板の旧はんだを吸取・除去し無鉛はんだで再施工。フラックス洗浄、基板コーティングを実施。

4 スイッチ・ボリューム清掃

スイッチとボリュームを完全分解し接点部を磨き直し。酸化・硫化防止処置を施しました。

5 回路調整・動作確認

オフセット・バイアス調整後、オーディオオシレーターとオシロスコープで各入出力波形を確認。APx555で歪率・F特性を測定し全項目クリアにて完了。



作業前後写真


交換部品

部品名内容
ダイオード劣化品を新品交換
トランジスタ(一部)劣化品を新品交換
電解コンデンサ劣化品を新品交換
ブロックコンデンサ劣化品を新品交換
半固定抵抗劣化品を新品交換
ヒューズ切断品を新品交換
RCA端子劣化品を新品交換
電源コード劣化品を新品交換

製品の特長を活かしつつ、今後安心して使用できるよう全て分解、洗浄、修理、組み立て、調整を行い、徹底的なメンテナンスを実施しました。



修理後の確認

スイッチ切り替え時・ボリューム動作時のノイズが完全に解消。歪率は仕様書数値以内を確認、F特性は仕様書通りのカーブを確認しました。回路調整はサービスマニュアルに準拠しています。



担当技術者より

AU-666最大の特徴は、パワーアンプ部が国産初のピュアコンプリメンタリ回路を採用したことです。NPNとPNPトランジスタを組み合わせたOCL(アウトプットカップリングコンデンサレス)方式は、JBL SA600と同じアプローチであり、そのサウンドの良さからSANSUIも採用したと言われています。

50年を経た今も、この設計思想は現代のアンプに通じるものがあります。時代を超えて愛される理由が、作業を通じて改めて伝わってきた一台でした。